低用量ピルについてお話します。

 ピルと言うのは外国では錠剤の薬すべてを意味しますが、日本ではもっぱら 経口避妊薬のことです。そこでわざわざ低用量ピルと断っているのは、副作用をなるべく抑えるためにそれまで使用されていたピル(現在は中用量ピルと呼ぶもの)よりホルモンの含有量を排卵を押さえきれる最低にまで減量したピルを区別するためです。

 この低用量ピルは海外ではずっと以前から使用されていましたが1999年秋に日本でもピルが解禁になり初めて日本市場に出回りました。発売後もう6年以上経過しましたが、(もともと保険の利かない薬ですが)医師の処方がないと手に入らないためいちいち産婦人科を受診するのがおっくうなせいか海外に比べ日本ではあまり普及していないのが現状です。

 日本では昔から避妊方法の第一選択(というかほとんど)はコンドーム(男性まかせの避妊法)で、若い女性はほとんど避妊ピルを飲んでいるのが当たり前(女性主導の積極的避妊法)のような先進国の中では異例に高率です。そのせいか全体の人工妊娠中絶も多くその中でも10代の人工妊娠中絶術の比率が多いのが日本の受胎調節の結果(日本の特殊性)とも言われています。

 さてピルには興味はあるけれどなかなか踏み切れないと言う人の一番気になることはその副作用とかかる金額(保険が利かないため)だと考えられます。

 まず副作用のことですが、ありそうな副作用としてはむかつき、不正出血、頭痛、胸の張りなどです。 これらの症状は1週間くらいで慣れておさまるものと2−3ヶ月はその程度はましになっても続いているものがありますが、そこ(2−3ヶ月後)まででほぼ消失します。もしおさまらなかったり、それまでに我慢できない程度になる場合は、薬をやめてすぐに受診し、ピルの種類を変更するか、ピルをあきらめてほかの方法で避妊するか選んでください。

 よく質問されるのはピルもホルモン剤なので“太るのでは?”とか“友達がピルを飲んでいて太ったからイヤ!”いう話です。これらは統計的にはまったく当てはまりません。ピルを飲むことによって月経前の憂鬱や月経痛、食欲不振がなくなり、食生活も活発になることが太る原因であることはありますが、ピルを飲まない時の排卵後に自然に出てくる身体のむくみを引き起こす黄体ホルモンは、ピルを飲むことによっても決して自然以上には上がりません。だからピルでむくむと言う人は(特殊な例を除いては)ピルを飲まなくてもむくむ体質の人に限られ、その程度は決して自然に経験する程度を越すものではないのです。女性で時々偏頭痛のひどい人がいますが、排卵後から生理前のみ起こりやすい頭痛はピルで改善が期待できます。月経周期と関係ない頭痛はピルでひどくなる可能性もあるのでそういう人は実際の服用後の症状によってはピルはあきらめなければいけないでしょう。

追記:
現在は数種類の低用量ピルが、月経困難症の薬として保険適用され、使用できるようになっています。詳しくはご相談ください。

 >>>低用量ピル 続きへ