なかた・みずのやレディースクリニック 子宮頸癌予防

子宮頸癌予防ワクチンについて

20-40代で子宮頸がんにならないために

ここ最近の研究で子宮頸がんの原因のほとんどが、性交渉による発ガン性のヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染(数年から数十年で発ガン)ということがわかってきました。このウイルスはあまり知られていませんが世界中に広く蔓延していて、性交渉で感染し、性交渉のある女性の約8割が一生に一度は感染すると言われているほどポピュラーなものです。このウイルスのグループには良性のいぼを作る比較的おとなしい型と癌に進行する悪い型のものがあり、200種類以上の型の中で15種類ほどがこの悪い型(発ガン性)であることがわかっています。普通の人はこのウイルスが体内に入ってきても免疫の力で排除できるので、一時的にこのウイルスが子宮頸部に見つかることはあっても、細胞を癌に変えないまま、いつの間にか排除されてしまいます。しかし、何度もこの発ガン性ウイルスが身体に入ってきたり、その時の免疫力が低下していると、この発ガン性の型の場合には年月をかけて子宮頸癌になっていくことがあるのです。この免疫力低下の原因には、ストレスやタバコ、局所的にその他の性感染症の存在が重要な役割を果たします。
そこで子宮頸癌の予防のため、このウイルスに接触しても感染しない目的でワクチンが開発されたのですが、なかなかすべての型に効くワクチン作りは困難なので、この発ガン性のウイルスの中でも子宮頸癌によく見つかる特に悪い型に絞って今回ワクチンが開発され、日本でも使えるようになりました。

ワクチンについて

平成22年から日本で承認されたワクチン(商品名:サーバリックス)は、このうち子宮頸癌にきわめて高頻度に見つかる16、18型に効くワクチンです。臨床試験では15-25歳の女性の感染、癌発症予防効果が確認され、国外では多くの国ですでに性交渉前の女児全員(10-16歳位を対象)に接種を推奨しています。このワクチンの接種により20歳代の女性の90%、30歳代の女性の80%(全体では60%)子宮頸癌の予防が可能といわれています。
本来、はしかやおたふくかぜなど1回かかると終生免疫が自然につくウイルスもあるのですが、残念ながらこのウイルスは自然免疫がつきにくいので、そういう意味で、性交渉後の方でも、今すでに持続感染していてがんになりかけている状態でなければ、接種による受動免疫により、今後起こりうる感染を予防できると考えられます。(性交渉前から打っておくと、一番確かですが・・・・)
ですから、実際には性交渉後でも打てますし、現在ウイルスの持続感染が不明の状態でもある程度発ガン予防効果が期待できるとも言われていますが、まだ、はっきりしたデータは出ていません。

ワクチンは初回、1ヶ月後、6ヶ月後の3回で1セットです。効果は最低6年は期待できますが、それ以上持続する(20年以上ほぼ1生涯)可能性も高いです。まだ日本では公的負担制度は若年者に一部あるのみですので、今は希望者は自費です。(1回約1万5000円から2万円くらいです)詳しくは各医療機関にお問い合わせください。尚、妊娠への影響はまだはっきりしていないので、投与期間中は妊娠を回避してください。出産後の授乳期も望ましくないので、2回接種後に妊娠してしまうと3回目の追加免疫ができず、(全然打たないよりはましですが、)予想された効果が期待できず、もったいないです。
ということで、投与対象は10歳以上、上限無しですが、以上述べてきたようにワクチンの効果と費用がかかるということから、あまり高齢の方にはおすすめしていません。なおこのワクチンは6割―9割のウイルスには効果的ですが、それ以外のウイルスによるケースもあるので、がん検診は続けることが大切です。 また、子宮体癌とは無関係ですので、混同されないようにしてください。

詳細はパンフレットがありますので、当院受付に尋ねていただき、ご希望者の方は受付でお申し込み、ご予約ください。

追記その2:H23.8月記載
現在全国で小学校6年から高校1年までの間の女児に子宮頸がん予防ワクチン接種の公費負担制度が始まっています。当院でも、必ずお電話でご予約後、明石市のクーポン券と母子手帳をご持参いただければ、接種させていただいています。クーポンを受け取られたときは、受けられる施設のリストを見て、是非お子さんには接種してあげてください。

追記その3:
このたび別の種類の子宮頸がんワクチン(商品名:ガーダシル)が厚生労働省で認可され、一般にもまた公費負担の小、中学生にも打てるようになりました。一般発売開始は平成23年8月26日で公費助成は同9月15日からです。従来のものとの大きな違いはこちらは16型、18型に加えて、コンジローマ(性感染症の一種で、外陰部にできる小さないぼの集団)の原因となる6型、11型にも対応しています。ガーダシルも3回接種すること(2回目のみ初回接種2ヵ月後となります)や価格、副作用はほぼ同じです。

追記その4:H29.12月記載
H25年4月より市町村から対象者(小6~高1の女児)に自動的に送られていたワクチン接種の無料クーポンは、H25年6月からは接種の推奨が控えられ、希望者の申し込み式になり、現在も希望者の公費負担制度は続いています。

追記その5:R6.5月記載
厚生労働省のパンフレット>>【小6~高1】【H9年~19年生まれ】
R4(2022)4月から再びHPV予防ワクチンが厚生労働省より積極的に推奨されることになりました。さらにR5(2023)4月からはその約半年前から日本での接種が可能になっていた9価(従来の16型、18型にその他のハイリスクの5つの型を追加し、コンジローマが予防できる6型11型の含めたもの)のワクチン(シルガード)が従来の2価、4価ワクチンに加えて小6~高1までの女児に公費負担で受けられるようになりました。さらにR5年4月からはワクチンの積極的推奨がされていなかった世代の女性への救済処置として期間限定で2価、4価、9価のどのワクチンでも公費負担で受けてもらえるようになりました。(キャッチアップ接種)対象年齢はH9(1997)年4月2日からH20(2008)年4月1日生まれ(現在16歳から27歳まで)でワクチンを受けなかった方です。期間はR7(2025)3月末までですが、このワクチンは15歳未満は6か月あけて2回接種、15歳以上は2か月後、6か月後の3回接種のため、少なくとも1回目の接種はR6(2024)9月末までに受けなければなりません。接種対象の人はお手元に接種券が届いているのが確認できなかったら問い合わせてでもぜひ接種券を入手して接種していただきたいです。詳しくは厚生労働省か政府広報のHPを参照してください。 ちなみにこのワクチンは27歳~45歳までぐらいなら自費扱いにはなりますが、前もってご予約いただければどなたでも受けることができます。3回接種で費用は約85000円ぐらいです。

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